古代ローマコイン 皇帝別レアリティランキング

目次

はじめに

一口に古代ローマコインと言ってもオブバースの肖像に描かれている人物は様々です。

このページでは古代ローマコインに描かれた人物(殆どが皇帝)のレアリティをランキング形式で記載しています。※一部オブバースの肖像が皇帝ではないコインもありますが、ここでは一律皇帝という扱いにしています。

ランキング1位が最もよく目にする皇帝。つまり流通市場においては良く言えば入手しやすい、悪く言えばありふれている皇帝と言う事になります。ヤフオクではなんでもかんでも古代ローマコインは「レア!希少!!」と言う言葉が飛び交っていますが、果たして本当にそのコインに希少性があるのかないのか?のひとつの物差しとしてお役立てください。

ただしありふれた皇帝のコインは軒並み安価で購入できる訳ではないので誤解しない様にしてください。どれだけありふれた皇帝のコインであっても、伝説や図案そしてミントの希少性或いはそれらに加えてハイグレードであれば高額になります。

尚このランキング自体ベースはは私のオリジナルではなくRasiel Suarez氏が数十万点と言う古代ローマコインを対象に調査しまとめた物を若干改編した上で掲載しています。

①もっともありふれている皇帝

もっともありふれている皇帝です。

金貨銀貨銅貨全てにおいてありふれた図案や伝説の物の価値はそれなりにしかなりませんが、図案や伝説そしてミントなど希少性を伴う要素を持ち且つハイグレードな物は高額で取引される事も多々あり、特に状態の良い金貨と大銅貨は(個々の希少性にもよりますが)日本円で数十万円〜数百万円程度で取引される事もしばしばあります。

ですが総じて大量に出土している皇帝なので、図案や伝説そしてミントすら考慮せずに即座にレア!希少!!とは絶対になりません。個々のコインが持つキラリと光る希少性が価値を生む。そうした皇帝のコインです。

順位英名
1Constantine I
2Gordian III
3Septimus Severus
4Hadrian
5Constantius II
6Trajan
7Antonius Pius
8Gallienus
9Probus
10Severus Alexander
11Augustus
12Caracalla
13Vespasian
14Aurelian
15Philip I
16Licinius I
17Constantine II
18Marcus Aurelius
19Domitian
20Claudius
21Constans
22Julia Domna
23Diocleatian
24Maximian
25Nero
26Claudius II
27Postumus
28Commodus
29Elagabalus
30Valentinian
31Faustina I
32Valens
33Crispus
34Faustina II

②割とありふれた皇帝

探せばどこかで売りに出ている。そんなレベルの割とありふれた皇帝ですが、ハイグレード品は①と比べてやや高額になりがちです。ただし希少性に欠ける図案や伝説の場合、どれだけハイグレードであったとしても価値はそれなりにしかなりません。ただしその”それなり”が①よりも多少高額になる事が多いです。ハイグレードな金貨や大銅貨ですと日本円で数百万円〜の取引は珍しくありません。もちろん銀貨や銅貨も①よりかは高額で取引されます。

順位英名
35Arcadius
36Julian II
37Theodosius
38Geta
39VRBS ROMA
40Trajan Decius
41Gratian
42Tiberius
43Valerian I
44Maximinus I
45Nerva
46Galerius
47Julia Mamaea
48CONSTANTINOPOLIS
49Salonina
50Titus
51Maximinus II
52Honorius
53Constantius I
54Trebonianus Gallus
55Phillip II
56Victorinus
57Helena
58Lucius Verus
59Tetricus
60Valentinian II
61Otacilia Severa
62Tacitus
63Magnentius
64Licinius II
65Lucilla
66Jovian
67Maxentius
68Caligula
69Agrippa
70Theodosius II
71Carausius
72Carinus
73Vitellius
74Sabina
75Herennia Etruscilla
76Galba
77Constantius Gallus
78Julia Maesa
79Volusian
80Macrinus
81Numerian

③そこそこ珍しい皇帝

根気よく探せば出会える・・・そういった皇帝です。そろそろ見慣れない皇帝の名前がちらほら出てくる頃合いです。少々状態が悪くても需要があれば高額取引される事が多いのもこの辺りから。ハイグレード金貨では1千万円〜の取引が珍しくなくなってきます。銀貨銅貨の普及品クラスでも数万円〜数十万円程度の取引は当たり前になってきます。

順位英名
82Magnus Maximus
83Severina
84Plautilla
85Clodius Albinus
86Carus
87Crispina
88Germanicus
89Aelius
90Tetricus II
91Quintillus
92Allectus
93Aelia Flaccilla
94Fausta
95Delmatius
96Florian
97Leo I
98Herennius Etruscus
99Galeria Valeria
100Julia Soaemias
101Severus II
102Anastasius I
103Decentius
104Procopius
105Valerian II

④準レアな皇帝

なかなか出会うことのない皇帝です。①や②そして③あたりでは「うーんまた今度でいいや」が通用しますが、この辺りの皇帝になると次いつ出会えるのか未知数ですので「また今度買おう」が通用しなくなってきます。欲しい皇帝のコインは見かけた時が買い時かもしれません。もちろん状態が悪くても高額になりがちですしハイグレード品は更に高額になります。ハイグレードな金貨ですと数千万円〜ぐらいで取引される事が多いです。銀貨銅貨も普及品ですら③よりも高額になります。

図案や伝説またはミントを一切考慮せず、無条件に「○○の皇帝だからレア!」と謳って恥ずかしくないのはこの辺りからです。

順位英名
106Marcian
107Balbinus
108Vabalathus
109Vetranio
110Pupienus
111Saloninus
112Otho
113Valentinian III
114Zeno
115Pertinax
116Diadumenian
117Theodora
118Julia Paula
119Antonia
120Maximus (Caesar)
121Eudoxia
122Drusus
123Marius
124Orbiana
125Aemilian
126Hostilian
127Mariniana
128Pescennius Niger
129Flavius Victor
130Agrippina
131Julia Titi
132Nero Claudius Drusus

⑤レア皇帝

出会いそのものが非常に稀な皇帝です。基本的に状態が悪くても高額必至。金貨ですと日本円で数千万円〜は当たり前で、物によっては数億円での取引もちらほら出てきます。銀貨や銅貨でも数十万円〜の取引が主流になります。

金貨の場合、投資目的で投資家が物色を始めるのはこの辺りからになります。

順位英名
133Didius Julianus
134Livia
135Macrianus
136Hanniballianus
137Quietus
138Aquilia Severa
139Magnia Urbica
140Johannes
141Eugenius
142Gordian I
143Romulus
144Gordian II
145Paulina
146Didia Clara
147Manlia Scantilla
148Eudocia
149Marciana
150Majorian
151Basiliscus
152Constantine III
153Laelianus
154Galla Placidia
155Pulcheria
156Nigrinian
157Julian I
158Anthemius
159Libius Severus
160Matidia
161Plotina
162Domitius Domitianus

⑥激レア皇帝

滅多に出会うことがありません。高額取引が当たり前になってきますし、そもそものリファレンスも少ないので贋作を掴まされないように注意が必要です。本物であれば摩耗したフォリスでも10万円〜の取引が珍しくありませんし、金貨ですと数千万円〜数億円の取引があります。

順位英名
163Honoria
164Tranquillina
165Alexander
166Domitia
167Agrippina II
168Verina
169Pacatian
170Leo II
171Martinian
172Jovinus
173Julius Nepos
174Britannicus
175Clodius Macer
176Caius Caesar

⑦超激レア皇帝

贋作に要注意。本物であればボロボロのフォリスでも10万円以下での購入はまず無理です。金貨もほとんど出物がありませんが、出てきた場合は⑥と同等かそれ以上の金額になるでしょう。

順位英名
177Dryantilla
178Maximus
179Regalianus
180Nepotian
181Domitilla II
182Licinia Eudoxia
183Valerius Valens
184Zenonis
185Constantius III
186Domitilla I
187Cornelia Supera
188Petronius Maximus
189Avitus
190Romulus Augustus
191Zenobia
192Annia Faustina
193Uranius Antoninus
194Priscus Attalus
195Sebastianus
196Glycerius
197Euphemia
198Olybrius
199Ariadne
200Jotapian
201Constans II
202Constantia
203Domitian II
204Leontius
205Saturninus
206Silbannacus

まとめ

如何でしたでしょうか。

ヤフオクやネットショップ、巷のコイン商では①や②あたりの皇帝の物が主流です。稀に③或いは④辺りが出るかな?ぐらいでしょうか。

それもそのはずで、①や②の皇帝のありふれたコインですら仕入れ値で数千円〜数万円はかかりますから、どこかで仕入れてきてそれを販売する方は仕入れの段階で③や④のコインは高くてなかなか手が出ないでしょう。いつ売れるかわかりませんし。なのでできるだけ仕入れ値が安いコイン・・・となると必然的に①や②のありふれた皇帝のありふれた図案の物になってしまいます。

ランキング2位のゴルディアヌス3世のシルバーアントニニアヌスなんて希少リバース以外はNGCで言うところのMSやAUクラスがわんさか流通していますので、安いところでならNGCスラブ入りMSやAUでも数千円で仕入れ可能です。既に欧米ではどれだけハイグレードでも日本円で1万円を超えると誰も買わないぐらいありふれてしまっています。希少リバースはまた別の話でそれなりに高額取引されていますが(とは言えせいぜいが1万円台後半でしょう)。

ですので①〜③あたりまでのコインは、安直に金貨だから高級!銀貨だから希少!とはなりにくいです。そして図案や伝説そしてミントマークの希少性を考慮せず、単に〇〇皇帝だからレア!!ともなりません。良くも悪くも普及品は(例えそれがハイグレード金貨だったとしても)希少性は殆どないので取引される金額もそれなりでしかありません。逆に希少図案や伝説の物ですとそれが銅貨であっても取引価格は高くなるでしょう。

余談ですが、私は出土したばかりの未洗浄コインを買い付けてそれをクリーニングしていますが、それでもやはり出てくるコインは①と②または③が殆どです。④以降は本当に出会いが少なくなります。

因みに④以降の皇帝であっても不人気であればどれだけハイグレードな金貨でも取引価格は少額です。例えばビザンチンからの金貨は総じてハイグレード品が大量に出土しているので、レアリティ的には④や⑤に入っていても金貨は数万円〜10万円程度の取引が大半です。一方で①の皇帝でも人気皇帝のSestertiusやDupondiusなどの大銅貨でハイグレードな物は数百万円で取引される事もあります。要は供給の数が少ないもの、残存数が少ない物程希少性と価値が上がるという事です。

古代ローマコインと一口に言ってもオブバースの皇帝だけで200人以上も居ますが、個人がコレクションするのに向いているのは収集のしやすさを考えればやはり①、②、③あたりが無難に思います。「ランキング204位のLeontiusだけを集めるぞー!」と気合を入れても、まず最初の1枚にいつまで経っても出会えませんからね。その点①〜③あたりなら図案や伝説のバリエーション、更に突っ込んでミントマークのバリエーションなど低予算で収集の幅をいくらでも広げる事が可能です。仮に予算が1千万円あったとしてもランキング189位Avitusの金貨だと1枚買えばそれで予算が尽きてしまいますから(1千万円では買えない可能性もかなり高いですが)。

とまぁ上を見ればキリがないのが古代ローマコインの世界です。

ですのでご自身が興味のある皇帝や時代を中心に①〜③あたりの範疇の物を収集するのが一番楽しいのではないかと思いますし、このランキングを参考にご自身のコレクション範囲や対象を検討してみてください。

尚、NGCスラブ入りの偽物が大量に出回っています。

ヤフオクやネットショップで「NGCスラブ入り=鑑定済みの本物保証」と謳う出品者や販売者が結構居る様ですが、NGCは古代ローマやギリシャなどの古代コインについては真贋の鑑定も本物であるとの保証もしていません(古代コイン以外は真贋の鑑定と保証がされています)。古代コインに関してNGCがしている事は帰属(皇帝や年代の特定)とXFやVFと言った見た目の美醜の格付けだけです。これはNGCの規約に明記されています。

NGCは規約で真贋の保証はしていないと明記しているにも関わらず、「NGCのスラブ入り」を理由に「真贋鑑定済み」や「本物保証」と虚偽を謳うヤフオク出品者やネットショップ販売者には要注意です。

また、別の理由でNGCのスラブ入りも決して安全ではありません。昨今NGCスラブ入りの偽物が大量に出回っています。そもそもスラブは一度コインを入れるとそのスラブを破壊しなければ取り出せない構造ですが、破壊せずに本来のコイン(NGCで格付けされたコイン)を取り出した上で、似せて作った偽造コインにすり替える手口が横行しています。当然販売用の商品写真は元々の(NGCで格付けされた)コインですが、売れたら非破壊でNGCのスラブから取り出して偽コインにすり替えてから発送する訳です。購入者は実際に届いた物を見て商品写真とは何かが違う気がするものの、格付けが無効になるのでスラブを破壊してまで取り出して確認しようとはしないでしょう。とにかく、NGCのスラブ入りと言う点を逆手に取った悪質な詐欺が横行しています。

他にもNGCやPCGSのスラブが偽物(中のコインも偽物)と言うケースもあります。スラブが偽物の場合は素人目でもわかる場合があるかもしれませんが、先に説明したスラブは本物で中身を元々のコインそっくりな偽物に入れ替える場合は購入前の商品写真だけではまず見極める事はできません。

日本で安全に古代コインを購入するのなら、国(公安委員会)に届け出をしている古物商か、定款でコインディーラー業を記載している法人からにするのがもっとも安全です。

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