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ペニーブラック完全収集ガイド

はじめに

1840年に発行された世界初の切手ペニーブラック
1840年に発行された世界初の切手ペニーブラック

ヤングスタンプで切手の収集ガイドを書くにあたって、やはり最初はペニーブラックであるべきだと思いました。何せペニーブラックは1840年にイギリスで発行された世界最初の切手ですから。

そのシンプルで無駄のない造形美に魅せられたコレクターは数知れず。この切手の持つ美しさはその後数多発行された切手の追随を許さない素晴らしさがあり、今尚活発に取り引きされている非常に魅力的な切手です。

入手難易度は後述するプレートによってはそこまで高くもないですし、何より取り引き価格も使用済みであれば幅はありますが超難あり品なら1枚1万円以下、美品極美品であれば5万円前後が一般的な相場と言えるでしょう。

もっともこれは一般的なペニーブラックに限った話であり、希少性の非常に高いペニーブラックに至っては数億円という高額取り引き事例もある切手です。そして更に希少性の高い物は英国王室所有などとなり、その価値は計り知れません。

ここではそれら一生かかっても実物を目にすることはないレアなペニーブラックは除いて、ごくごく一般的に入手できるレベルのペニーブラック収集の楽しみ方を解説していきたいと思います。

尚、ここではペニーブラック登場の当時の歴史的背景や郵便事情、ペニーブラックのデザインについての逸話などは省略しています。こうした事に興味のある方はペニーブラックのwikipediaに英語で詳しい事が書かれていますので一度読んでみてください。

ペニーブラックの基本的な情報

ペニーブラックの発行枚数と現存数

1840年5月1日に初版が発行され、その後1841年1月19日までの約9ヶ月間に発行されたペニーブラックの総発行枚数は68,808,000枚。このうち130万枚程度が今も現存しているのではないかと言われています。

実際に海外のオークションなどを見ていても結構な数量のペニーブラックが出品されています。程度に拘らなければ現代でも比較的入手は容易ですね。

ペニーブラックのシート構成

ペニーブラックは1シート240枚で構成されていました。

AAABACADAEAFAGAHAIAJAKAL
BABBBCBDBEBFBGBHBIBJBKBL
CACBCCCDCECFCGCHCICJCKCL
DADBDCDDDEDFDGDHDIDJDKDL
EAEBECEDEEEFEGEHEIEJEKEL
FAFBFCFDFEFFFGFHFIFJFKFL
GAGBGCGDGEGFGGGHGIGJGKGL
HAHBHCHDHEHFHGHHHIHJHKHL
IAIBICIDIEIFIGIHIIIJIKIL
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KAKBKCKDKEKFKGKHKIKJKKKL
LALBLCLDLELFLGLHLILJLKLL
MAMBMCMDMEMFMGMHMIMJMKML
NANBNCNDNENFNGNHNINJNKNL
OAOBOCODOEOFOGOHOIOJOKOL
PAPBPCPDPEPFPGPHPIPJPKPL
QAQBQCQDQEQFQGQHQIQJQKQL
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SASBSCSDSESFSGSHSISJSKSL
TATBTCTDTETFTGTHTITJTKTL

そして各切手がシートのどの位置にある物かがひと目でわかるようにと考案されたのが切手下部の左右にあるチェックレター(コーナーレター)です。

1840年に発行された世界初の切手ペニーブラック
1840年に発行された世界初の切手ペニーブラック

上のペニーブラックのチェックレターはQHです。

先程のシート構成一覧表を見ればQHがシートのどの位置の切手なのかがすぐにわかります。

ペニーブラックのマージンについて

ペニーブラックは目打のない切手(無目打)だったので、切手は常にハサミで切り取られてから使われていました。この時図案の四辺に十分な余白を残しているかどうかが重要な要素になります。

例えば上で掲載しているペニーブラックは四辺に十分な余白が残っている状態でこれを4マージンと呼びますが、マージンの状態としてはこれが最高の状態となります。

マージンの全く無い物や図案に切れ込みが入ってしまっている物、マージンがあったとしても一部のみといった物については評価もかなり下がります。

余程希少性の高いペニーブラック以外はできるだけ4マージンの物を買うようにしましょう。

ペニーブラックのプレート

ペニーブラックは全て銅版(以降:プレート)で印刷されましたが度重なる印刷でプレートが摩耗した為、一定期間で入れ替えられて印刷が続けられました。プレートは全部で12種類が使われています。

各プレートが使用開始された日付とそのプレートで印刷されたペニーブラックの数は以下の通りです。

プレート番号使用開始日印刷枚数
1a,1b1840年4月15日10,052,400
21840年4月22日7,659,120
31840年5月9日4,786,800
41840年5月19日6,701,760
51840年6月1日8,616,480
61840年6月17日9,095,040
71840年7月8日8,137,680
81840年7月31日7,180,320
91840年11月9日3,840,000
101840年12月9日1,920,000
111841年1月27日168,000

これで見るとプレート11で刷られたペニーブラックが圧倒的に少ないことがわかります。当初プレート11はペニーレッドを印刷する為に準備されていましたが、赤いインクが間に合わなかった為にやむを得ず少量のペニーブラックが印刷されました。

ペニーブラックの価値

一口にペニーブラックと言ってもその希少性は様々です。ここでは比較的市場によく出回っている単片切手を取り上げてみますが、評価となるポイントはいくつかあります。

基本的にはこの4つの要素がペニーブラックの価値を決めます。

そして一番高額で取り引きされるのは未使用4マージンでプレート11のペニーブラックです。

次いで未使用4マージンでその他プレートの物、使用済み4マージンで希少性の高い要素を有する物、3マージン以下の未使用、3マージン以下の使用済みと続きます。

もちろん例外もあり、使用済みで非常に希少性の高い消印が押された物や使用時期によっては未使用の物よりも遥かに高額(数千万円~数億円)で取り引きされる事もあります。例えばペニーブラックの初日カバーは世界に3通しか存在していないと言われていますが、これらは1億円でも購入できません。またチェックレターによってはプレート毎にエラーや特徴的な物があり、そうした物も高額で取り引きされています。

ひとつ言えるのは未使用でも使用済みでも4マージンの物が見た目に美しいので最も好まれていますし、3マージン、2マージン、1マージンやゼロマージンとマージンが無くなると共にペニーブラックの市場価値もかなり大幅に減少します。

そして単片ではなく2枚3枚4枚5枚とブロックになっている物は、その数が多ければ多いほどに価値が何十倍何百倍にも跳ね上がります。

ペニーブラックの収集方法

イニシャルで収集する

もっともよくある収集方法がこの方法です。

自分のイニシャルと同じチェックレターのペニーブラックを購入してコレクションする。たったこれだけです。

1枚あればコレクションは完了しますので手軽に始めるならばこの収集方法が最適でしょう。

シートリコンストラクション

ペニーブラックには切手下部の左右にチェックレターがある事は先程説明しましたが、これをシートの並び順通りにさながらシートを復元するかの様に収集するスタイルをシートリコンストラクションと言います。

最低でも240枚のペニーブラックを購入する予算に加えて各チェックレターのペニーブラック全てとの出会いが必要になります。

プレーティング

ペニーブラックは述べ12のプレートで印刷された事は解説しましたが、お持ちのペニーブラックがどのプレートで刷られた物かを調べて特定する事をプレーティングと呼びます。

プレーティングの方法はいくつかありますがそれらの方法全てに共通しているのはチェックレターを調べる事です。

さっき掲載したペニーブラックのチェックレターはQHでしたが、同じQHでもプレート毎にその位置や傾き、形状などが微妙に異なっています。ですのでそれを調べる事でどのプレートで刷られたのか?を特定する事ができます。

プレーティングについてはそれを行うために別途必要になる物が色々あるのと、最も専門的な細分類方法となるのでいきなり挑戦するのはかなり敷居が高いと思います。本国イギリスではプレーティングを専門的に有償で請け負う業者もいるぐらいです。専門的なスキルに加えて”数をこなしてきた”知識と経験も求められます。

ペニーブラック及びペンスブルーとペニーレッドのごく初歩的なプレーティングガイドも当サイトで公開しているので興味のある方はそちらもご覧ください。

当店ではペニーブラックを始め、ペンスブルーやペニーレッドのプレーティングを請け負っています。これら切手の真の価値はプレーティングでしかわかりません。自分でプレーティングは敷居が高いなと感じる方は気軽にご依頼ください。※ヤフオクにサービスとして出品しています。

ペニーブラック収集ガイドのまとめ

ここまでを読んで如何でしたでしょうか。

今から180年程前に発行された世界で最初の切手。その気品溢れるデザインは一度目にすると納得できると思います。

まだお持ちでない方は是非最初の1枚を手に入れてみてくださいね。そして既に収集されている方は、より高難易度なプレートリコンストラクションやプレーティングに進まれると良いですね。特にプレーティングはイギリスクラシック切手収集で最難関と言われますが、それだけに一生の趣味にできる高度で専門的な収集方法です。

ペニーブラック収集から深みにハマるとペンスブルーやペニーレッドのプレーティングにまで行き着きますが、それもまた楽しいものです。事実私は最も難解なペニーレッドのプレーティングを専門的に行っていますが、1万枚以上をプレーティングしてきた今現在でも新たな発見があるぐらいです。

それでは、どうぞ素晴らしいペニーブラック収集を心から楽しんでください!

ペニーブラックやペンスブルーの偽物にご注意ください。
ヤフオクでは高頻度で偽物(贋作)が格安スタートで出品されています。印面の女王の顔が本物に比べて甘かったり、チェックレターの形状が不自然だったり或いは存在しない文字列だったりと、見分けるのが簡単な贋作も多いですが、それっぽい透かしまである、比較的精巧な贋作も出品されています。先日は偽の鑑定書もどきまでついている未使用ペニーブラックの贋作が出品されていました。
この手の贋作には1円の価値もありませんので、入札や購入の際はしっかりと真贋を見極めてください。
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