未洗浄コインのクリーニングガイド

改訂版を書きました。こちらでご覧ください!

未洗浄コインのクリーニング(洗浄)方法についてたまに問い合わせがあるので、自分なりのやり方をこのページにまとめてみました。

ローマやギリシャなどの古代コインや近現代コインにも使えるクリーニング方法です。

それではスタート〜

まずは道具を揃えましょう

最低限必要な物は以下の4点です。

  1. 歯ブラシ
  2. 真鍮製のブラシ
  3. 蒸留水
  4. 密閉できるタッパーを数個

歯ブラシは毛が硬めのやつを用意し、毛の長さをハサミで半分程度まで切り落としてください。毛先を揃える必要はないので適当でいいです。

真鍮製のブラシはホームセンターやAmazonで売っています。安いです。

蒸留水はコインに堆積している汚れの層を柔らかくする為に使います。車のバッテリー補充液も使えます。水道水は含まれている成分によってはコインにダメージを与える可能性があるので止めておいた方が無難です。精製水や純水も私は使った事がありませんが一般的には使いません。

タッパーは密閉できればなんでもいいです。家に余っているものがあればそれで。

最初に軽く丸洗い

未洗浄コインを手に入れたらお湯でやさしく洗いましょう。食器用洗剤を足してもいいですね。

私は風呂場で洗面器に張ったお湯で洗いますが、ボディーソープを足す事もあります。

軽く洗ったら水切りしてからタッパーに。そして蒸留水をコインが完全に漬かるまで注いでから蓋をし、1週間程放置しましょう。

蒸留水の代わりにオリーブオイルに浸すのも手ですしこれを好む人もいますが、オリーブオイルはスーパーに売っているもので(エキストラ)バージンではない物を使いましょう。(エキストラ)バージンはあまり仕事をしてくれない事が多い様です。

因みにオリーブオイルに漬けるとコインのトーン(色)が個体差はありますが黒っぽくなります。また一度オリーブオイルに漬けてしまうとその後蒸留水に漬ける作業には戻せませんのでご注意を。

また人によってはレモン汁やクエン酸を蒸留水やオリーブオイルに混ぜた混合液を使う事もあるようですが止めておきましょう。レモン汁やクエン酸は銅貨の場合まっさきに表面の図案を破壊します。

全体チェック

1週間後。タッパーからコインを全て取り出します。

蒸留水は多少汚れているかと思うので捨てましょう。タッパーも洗います。

取り出したコインは柔らかいタオルの上にでも並べて乾燥させます。たまに裏返してください。

1~2日すると大体乾燥しているはずなので、ここで1枚1枚の状態をチェックします。

既に薄らとでも図案が見えているものと、分厚い汚れが付着していて図案の見えてないものの2つに分けていきましょう。ついでにこの時、真鍮製のブラシでブラッシングします。そーっとやさしく丁寧に。力を入れすぎるとコインの表面に傷がつく可能性がありますので注意してください。

乾燥しているコインの表面を真鍮製のブラシでこすると、汚れが粉となって舞い上がるので吸引しないように。窓を開けておいた方がいいかもしれませんね。そしてコインの表面にも粉末化した汚れがついているので、今度は歯ブラシでブラッシングしましょう。歯ブラシでのブラッシングはゴシゴシこすっても傷つかないのでご安心を。

乾燥した状態で汚れが落ちにくい場合は水道水の流水の下でゴシゴシしてもいいですし、或いはちょっと濡らしてからゴシゴシしてもいいです。臨機応変に。でも常に基本は優しいタッチでこすりましょう。

後は延々繰り返し

ブラッシングが終わったらタッパーに戻してまた新しい蒸留水を注ぎましょう。以降は貴方のペースでタッパーから取り出してブラッシングしていけば、大抵の物はいつかある程度綺麗になるはずです。

タッパーから取り出す→ブラッシング→またタッパーへ

これを延々と繰り返します。

私は1週間漬けて取り出してブラッシングし、また蒸留水に1週間漬けてというサイクルです。人によっては数年漬けたままにしておくようですが、この辺は好き好きで。

汚れの分厚い物から図案が見えてくる様になるまでに半年一年或いはそれ以上かかる場合もありますが、根気よく続けるしか道はありません。そういうものです。そしてこのやり方が最もコインに優しくて損傷を与えるリスクが少ないです。

実際この根気が続かない人はなんとかして近道はないものかと色々と試します(私もそうです)。

あらゆる化学薬品や強力洗剤への漬け込み、超音波洗浄、電気分解などなど・・・方法は色々ありますが、コインの状態にも左右されるのでうまくいく事もありますがうまくいかない事の方が多いです。そしてうまくいかなかった場合、コインの図案を破壊するなど深刻なダメージを与えてしまう事になります。

こういった近道に興味のある方はネットで検索すると色々と情報は出てきますが、総じてコインの状態に左右されるので手を出さない方がいいかと思います。

私はたまに「これ以上こいつはゴシゴシしても無理だ」と思う物だけを電気分解しています。

図案が見えてきたものは

根気よくブラッシングと蒸留水への漬け込みを行っていると、図案がそこそこ見えてきます。

ある程度図案が見えてきてそれを識別できる状態で良しとするならばここでクリーニングを終了して構いません。乾燥させてからコレクションに加えてください。

微妙に汚れが残っている、もうちょっと図案をはっきりさせたいなと思うコインがあるならば、クリーニングの次のステップに移ります。

用意するものは・・・

  1. 竹串か爪楊枝
  2. デンタルピック
  3. 実体顕微鏡

このステップでは上の3つが必須です。特に実体顕微鏡は数万円しますが、これなしで詳細なクリーニングはできません。

実体顕微鏡で拡大したコインの表面を見ながら、爪楊枝か竹串でちょっとづつ汚れを削り落とします。これらで落ちない汚れがある場合はデンタルピックを使いますが、デンタルピックは力加減を間違えると一瞬でコインに傷をつけてしまうので細心の注意を払って使用してください。傷がつけばそのコインから価値が失われます。

この作業も慣れる以外にコツはないので、いくつものコインに傷をつけながら体で覚えていくしかありません。そつなくこなせる様になると、もはや職人レベルのクリーナーになっているかもしれませんね。

こうした細かいクリーニングに使う道具も様々あります。メスや本格的な遺物修復用ツールを使う人もいます。ちなみに私は超極細の彫刻刀や先をダイヤモンドコーティングした特殊なピックを愛用しています。

まとめ

以上が未洗浄コインのごく基本的かつ一番安全なクリーニング方法です。

最も必要なのは根気です(笑)

ローマコインなどの古代コインの収集とクリーニングは全くの別物です。単純に収集がしたいだけであれば、既に綺麗に洗浄されてプラスチックケースに納められたものを買った方が手っ取り早いですよ。

そうではなく未洗浄コインの詳細を少しづつ自分の手で明らかにしていくプロセスに魅力を感じるなら、クリーニングは非常に楽しめる趣味になると思います。何よりポンとお金を出して買うよりも1枚1枚への思い入れが違いますから。

とまぁ大きくはこんな流れがクリーニングの基本です。後はご自身の経験と試行錯誤が必要かと思います。例え同じ貯蔵庫から出てきたローマコインだったとしても、汚れ方は1枚1枚異なりますから、最終的には経験がものを言う世界です。

クリーニングの過程で何枚も何枚もダメにしてしまうでしょうから、最初は安価なコインで実践する事をオススメします。

とにかく気長にいきましょう。なかなか綺麗にならないな〜ってイライラしたり焦ってしまうと必ずコインを痛めて台無しにしてしまいます。焦らずじっくり過程を楽しむのがこの道の肝です!